百条委員会とは何なのか?名前だけ見るとかっこいい!




東京の築地市場の豊洲移転問題の話題で出てきている百条委員会って一体なんなのでしょう?委員会の名前だけ見るとどことなくかっこいい感じがしますよね。

国連の安全保障理事会とかエヴァンゲリオンの人類補完委員会とか何やら裏の権力を持った秘密組織のような雰囲気も醸し出しています。関西のテレビ番組「そこまで言って委員会」ともこれまた違う。

百条委員会は大きな権限を持っているのは確かですが怪しい委員会ではありません。ではいったい百条委員会とはなんなのか、簡単に調べてみました。

百条委員会とは

百条委員会(ひゃくじょういいんかい)とは、地方議会の議決によって設置することのできる特別委員会の一つです。都道府県及び市町村の事務に関する調査権を規定した地方自治法第100条に基づくもので、この条文から「百条委員会」と呼ばれています。

この百条委員会は、地方公共団体の事務に関する調査を行い、関係者への聞き取りや記録の提出を求めることができます。これを拒否した者には罰則も科せられるので、かなり強い権限を持った委員会になります。国会の国勢調査権に相当するものと考えればいいですね。

普通地方公共団体の事務のうち、自治事務、法定受託事務を除いたものに対する調査が対象です。この2つは簡単に言うと国の事務のようなものなので、それ以外の直接地方行政全般に関わるものが対象と考えればいいでしょう。地方行政ほぼ全部と言っても問題ないと思います。

調査に違反すると、どんな罰則が科されるの?

百条委員会の調査権の実効性を高めるために、厳しい罰則の規定があります。どんな罰則が科されるのでしょうか?

対象者が正当な理由なく、出頭に応じなかったり記録の提出や証言を拒んだときは、6箇月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処せられます(地方自治法第100条第3項)。

宣誓した対象者が虚偽の陳述をしたときは、3箇月以上5年以下の禁錮に処せられます(同法第100条第7項)。

しかもこの罪が認められた場合、議会は告発しなければならないと義務づけられている同法第100条第9項)ので、相当に強い権限であることに間違いないですね。

ニュースなどで百条委員会の話題が出た時に、議員などの辞職などで問題の幕引きが起こったりするのも、この百条委員会の権限の持つ罰則を避けたいという思いがあるからでしょうね。また百条委員会設置をチラつかせて、圧力をかけるという側面もあるに違いありません。

誰も読まないだろうけど参考までに「地方自治法第百条」

誰も読む人はいないと思いますが、参考までに地方自治法第百条を掲載しておきます。

第百条  普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。次項において同じ。)に関する調査を行うことができる。この場合において、当該調査を行うため特に必要があると認めるときは、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。
2  民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、前項後段の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合に、これを準用する。ただし、過料、罰金、拘留又は勾引に関する規定は、この限りでない。
3  第一項後段の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、六箇月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
4  議会は、選挙人その他の関係人が公務員たる地位において知り得た事実については、その者から職務上の秘密に属するものである旨の申立を受けたときは、当該官公署の承認がなければ、当該事実に関する証言又は記録の提出を請求することができない。この場合において当該官公署が承認を拒むときは、その理由を疏明しなければならない。
5  議会が前項の規定による疏明を理由がないと認めるときは、当該官公署に対し、当該証言又は記録の提出が公の利益を害する旨の声明を要求することができる。
6  当該官公署が前項の規定による要求を受けた日から二十日以内に声明をしないときは、選挙人その他の関係人は、証言又は記録の提出をしなければならない。
7  第二項において準用する民事訴訟に関する法令の規定により宣誓した選挙人その他の関係人が虚偽の陳述をしたときは、これを三箇月以上五年以下の禁錮に処する。
8  前項の罪を犯した者が議会において調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、その刑を減軽し又は免除することができる。
9  議会は、選挙人その他の関係人が、第三項又は第七項の罪を犯したものと認めるときは、告発しなければならない。但し、虚偽の陳述をした選挙人その他の関係人が、議会の調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、告発しないことができる。
10  議会が第一項の規定による調査を行うため当該普通地方公共団体の区域内の団体等に対し照会をし又は記録の送付を求めたときは、当該団体等は、その求めに応じなければならない。
11  議会は、第一項の規定による調査を行う場合においては、予め、予算の定額の範囲内において、当該調査のため要する経費の額を定めて置かなければならない。その額を超えて経費の支出を必要とするときは、更に議決を経なければならない。
12  議会は、会議規則の定めるところにより、議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を設けることができる。
13  議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができる。
14  普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができる。この場合において、当該政務活動費の交付の対象、額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は、条例で定めなければならない。
15  前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
16  議長は、第十四項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。
17  政府は、都道府県の議会に官報及び政府の刊行物を、市町村の議会に官報及び市町村に特に関係があると認める政府の刊行物を送付しなければならない。
18  都道府県は、当該都道府県の区域内の市町村の議会及び他の都道府県の議会に、公報及び適当と認める刊行物を送付しなければならない。
19  議会は、議員の調査研究に資するため、図書室を附置し前二項の規定により送付を受けた官報、公報及び刊行物を保管して置かなければならない。
20  前項の図書室は、一般にこれを利用させることができる。

まとめ

百条委員会が設置されるということは、行政として大きな問題があると疑われる状態にあるのだと思います。ですから、設置されないことが本来は適正な状態なのでしょう。しかしながら、おかしなことを起こさないためにもこういう権限の強い調査は担保として必要でもあります。政争の具にだけは使って欲しく無いですね。

百条委員会は決して秘密結社のような影の委員会ではありません。