サッカーのキック力がある人と無い人とでは、ボールを蹴った時の軌道のイメージやそもそもの蹴った回数の違いなどがあるとこれまで書いてきました。教科書的な説明と実際のキックでは違うことなども述べました。
キック力とはどのくらいあるといいのでしょう? 目安となる良い練習は? その辺りについて考えてみます。
遠くに蹴るという距離感の基準
キック力があると遠くまでボールを蹴ることができます。これは武器ですよね。左右の展開を大きく変えたり、相手ディフェンダーの裏までボールを一気に通したり。
でも、そこまで蹴っても届かないんだよな、というのがキック力の無い人の悩みです。
これまで距離感についても書いてきました。イメージしているよりもボール自体は高くも遠くも飛んでなく、ボールの転がり方やコースによってもキック力は特徴付けられるということも述べてきました。
ただし、やはり具体的な距離を意識したキックができないと、思ったところに飛ばないのも確かです。その目安となるキックの練習はどうすればいいか。
遠くに蹴るという距離感の基準になるようなキックの感覚を掴んでおけば、それより力を入れるか弱めるかでコントロールできますよね。こんな練習でどうでしょう?
ペナルティエリアの外からゴールのクロスバーまでの距離
距離感の基準となるキックの練習として、ペナルティエリアの外からゴールまでの距離を意識してボールを蹴る練習をしてみてはどうでしょうか?
意識して、というよりも、実際に練習でペナルティエリアの外から蹴るということです。
プレースキックでフリーキックの練習を兼ねてもいいですし、ボールをちょこっと横に転がして蹴ってもいいです。
ゴールの正面からだと距離が無いので、斜めの位置からのキックがいいでしょう。この時、目一杯走り込んで蹴るのではなくて、2歩から3歩の軽いステップから、ワンモーションで蹴るような蹴り方で練習してみて欲しいです。
そして、距離を蹴りたいのですから、ゴールのクロスバーを狙う感じのキックをしてみましょう。ラグビーのペナルティキックのようにクロスバーを高く超える必要はありません。クロスバーに当たるくらいでいいです。
その高さでペナルティエリアの外から軽く蹴って狙えるか。この距離感を基準にしてみるといいと思います。
クロスバーに届くと実際の飛距離はかなりある
どうでしょう?
ペナルティエリアの外の斜め45度くらいの位置から軽く蹴って、ゴールのクロスバーに届きますか?多分、そんなに難しく無いと思います。できるはずです。
別にクロスバーを越えなくても、ゴールの上の方のネットに突き刺さってもいいです。だいたいの距離感でいいです。
斜めが遠いと感じたら、別に正面からでもいいですよ。
これ、ゴールまでの距離と思ってませんか?そんなに遠い距離じゃ無いと感じてませんか?
クロスバーを超えていくボールは、極端なことを言えば、その倍のところまで飛んで行きますよね。(綺麗な放物線を考えた場合ですけども)
となると、かなりの距離をボールは飛んでいくことになるということに気付きませんか?
そうなんです。この距離の感覚でいいです。無闇に遠くに蹴ろうとしなくても、ペナルティエリアくらいの距離を意識するだけで、結構な飛距離が出るんです。
これで距離感を掴むことができますから、飛距離のコントロールもできるようになります。
キックの練習は、ペナルティエリアの外からゴールに向かってやってみる。単に遠くに蹴ろうと練習しなくてもいいんです。
まとめ
遠くにボールを蹴るには、その前に基準となる距離感をつかみたい。そのためには、ペナルティエリアの外からゴールのクロスバーを狙うようなキックを意識してみる。
こうすることで、距離の基準になる感覚が掴めます。と同時に、相手の裏にボールを落とす練習にもなりますし、フリーキックの練習にもなります。もちろん、ミドルシュートも。
この基準となる距離感でも、実際の飛距離はかなり出ています。みんな、遠くに蹴ることを、あまりに意識しすぎて非現実的なボールの飛距離をイメージしているのかもしれませんね。
ボールのキック力をつけるには、他の人よりもたくさんボールを蹴ること。これは私の周りにいたキック力のある選手に共通して言えることです。足とボールが触れる感覚が断然違ってくるということでしょう。
でもただ数を蹴るのも意味がありません。今回のように、ちょっとした距離感を意識して蹴る練習をしてみるのも大切です。
仮に遠くの距離まで飛距離が出なくても、この決まった距離のキックの感覚は、試合中の多くの場面で武器になるはずです。遠くに蹴ることだけがサッカーではありませんからね。柔らかい浮いたパスも、こんな感覚から生まれてくると思いますよ。