“社員に「やる気」を起こさせるのは簡単だ”

やる気の社員




仕事でやる気を出す方法について、昔に出版された本の中にこういう文章がありました。

社員が自分の仕事に使命感を持つようにしていけば、自然にやる気を起こすものである。
こういう仕事をやれば世の中のためになるんだ、人のためになるんだ、ということを社員に教えていけば社員はやる気を出すものなのだ。世の中のためにたる、人のためになる、ということは、裏返せば自分のためになるということでもある。
逆にいうならば、ビジネスは、世の中のために役立つものであり、社会の進歩に貢献するものでなければダメだということになる。そういう仕事でないと、社員にやる気をおこさせることは難しい。

これは、ある外食産業を日本で設立した人の本からの引用です。

特に目新しいことが書いてあるわけでもないのだけど、最近はコーチングなどのように心理学的な見地から仕事のやる気を述べた本が多い中で、この文章はとても新鮮な感覚を味わうことができました。

モチベーションのコントロール術ではなくて、仕事とは本来どうあるべきものなのかを意識することができる文章です。

「おもてなし」の言葉は東京オリンンピック招致の滝川クリステルを待つまでもなく、リッツカールトンの世界を紹介した高野登さんの本が出た頃からでしょうか、そういう「まごころ」のようなものを大事にしようとするビジネスがよく話題になったような気がします。

ですが、そういった「おもてなし」の物語は、ちょっと技巧的になってる雰囲気も感じていました。こいうのはテクニックではないところで効くものなのじゃないかと。(もちろん、スキルを磨くのも大切ですけども)

そんなときに、こういった記述を読むととても新鮮な思いがします。考えをリセットできるというか、同じ結果を得ようとしている時に、フォーカスするところを大きく変えてくれる思いがします。

これは、1980年代初頭に書かれた本です。

著者は日本マクドナルドを設立した藤田田氏。

ビジネス書はちょっと古いもののほうが心に響くと最近よく感じます。

日本経済がまだ成熟していない時代にゼロから築き挙げてきた人たちの言葉はちょっと違う。

ゼロから始めることの重要さ、0を1にすることの意味はとても重く感じてジワジワと胸に突き刺さる感じとガツンと頭に衝撃が走る感じがするのですが、最近のビジネス書のベストセラーは言葉は軽やか過ぎて自分から通り抜けていってしまう感じがしてしまいます。

ヤマト運輸の小倉昌男氏然り、トヨタ生産方式の大野耐一然り。共通して言えることは、とても基本的な言葉で納得させられてしまうということです。

最近、雇用問題とか政府の政策の是非が話題になることが多いですが、企業の雇用する側が社員をどうしたいのかという視点が抜けているような気がします。

日本経済復活の鍵は、新しいことに取り組むのも大切だけれども、忘れてしまったことを思い出してみるというのもアリなんじゃないでしょうか。やる気も違って来るかもしれません。