「この国を動かしてるのは政治家じゃないぞ。だから選挙で選んだという国民の力なんて無関係。実際に国を動かしているのは東京大学法学部だ」
これは私が高校時代に世界史の教師が授業の合間に話した政治の仕組みの内容です。
ここでいう東大法学部というのはもちろんキャリア官僚のこと。
現実社会の厳しさを教える教師?
政治家や国民など無関係に、キャリア官僚が実際に政治を動かしているとその教師はこれから日本を背負っていくであろう若者たちに言ったのです。
政治家になっても意味がない。政治を支えようと公務員になっても、東大法学部しか意味がない。
進学校でもなかったので、東大なんぞには数十年に1人合格するかどうかの状況。そんな高校にとっては東大の話をしたところで興味のない生徒ばかりなわけですが、なんとも夢のない話をこの教師はするのだなと思ったものです。
もちろんその教師は現実社会の力学のようなものを話しておきたかったのでしょう。
ただ、下克上のようなものはこの世の中にはありえないとでも言われたようで、とてもつまらない印象を持った覚えがあります。
理想を語るべきか? 現実を語るべきか?
今年、選挙の投票年齢が18歳に引き下げられました。
巷では若者の政治への関心を高めようと、学生向けにいろんな模擬投票のようなものが行われたり、期日前投票所の工夫がなされたりしています。
「選挙は大切だ!若者の意志を実現するには民主制のこの国では選挙での投票で国の方向を決めないといけない」
そんな話がニュースでも特集されています。
実際に若者が政治に関して意見を述べる動きもあったりします。
もちろん選挙は大切です。若者だろうと、歳を重ねた人であろうと。
ただ、そんな話を聞くたびに、高校時代の「日本は東京大学法学部が動かしている」と言った教師の言葉が頭をよぎるんですよね。
その教師はもう退職していると思いますが、18歳への投票年齢の引き下げについてどんな意見を持っているのか興味があります。
理想と現実。民主主義ってなんだろう?さて、どちらに重心を置いて生きるべきか。
参議院選挙の投票日は2016年7月10日(日)です。