百田尚樹『カエルの楽園』は、いま最もイライラしてしまう本である。




『カエルの楽園』が文庫化されました。

単行本発売からこんなに早く文庫化されることはかなり珍しいそうです。著者の百田尚樹さんの発言では、新潮社の担当者はもうちょっと文庫化は先送りしたかったようです。

ですが、今の世界情勢と日本が置かれている状況だからこそもっもいろんな人に手にとって読んで欲しいという百田さんの強い思いから文庫になって登場したようです。

解説はジャーナリストの櫻井よしこさんが書いています。

設定はパロディとして面白い

さて、この『カエルの楽園』ですが、発売された当初から設定はおもしろいなと思っていました。どこかのとある島国の、政治、憲法やマスコミの状況とその国を取り巻く国際問題を連想させる設定は、そのモデルとされる国の抱えている問題を考える際に楽しみながら一旦を触れることができるだろうとは評判からは思っていました。

ただし、ちょっと単行本は手を出さずにいたのですね。まあ、このほんで書かれているナパージュという国は、まさに日本のことであるというのはもう誰もが知っていることで、デイブレイクは朝日新聞をはじめとしたアホメディア。ウシガエルは尖閣を荒らす赤い大国。その他諸々頭を巡らせたらリアルな状況はすぐに連想できるもので、日本の置かれた状況をパロディ化して近未来を展望した物語ではあります。

でも、この日本が置かれている状況への問題意識自体を持っている人にとっては「まあ、わざわざ読まなくてもいいかもなぁ」という考えを持っている人もいるのではないでしょうか。私もその一人でした。

手にしようか迷っていた本の文庫化は大歓迎

今回手にとったのは、文庫として安くなって登場したので「安いからとりあえず読んで置くか。話題の1冊でもあるし」という軽いものでした。

読み始めたら、日本の置かれている状況を理解している人にとっては当然の内容としてストーリーが進みます。テレビ、新聞、ネットで話題になっている時事ニュースの状況が、このカエルの楽園に発生しているわけです。

面白い!ただし、状況設定だけ気楽に考えただけではということで…

ストーリーにイライラするのはなぜ?

読み進めて行くと、自分がどんどんイライラしていくのを感じます。この物語はナパージュの国にたどり着いた2匹のアマガエルのソクラテスとロベルトがその国での生活を通して、その国の置かれている問題を目にしていくわけですが、ページを読み進めるに連れてどんどんイライラしてくる自分がいるのです。

使い古された言葉ですが、お花畑もいい加減にしろと叫びたくなります。ストーリー自体はここでは触れませんが、何度こう思ったことか。

「おい、ロベルト!しっかりせーよ!」

このカエルの楽園の最後はどうなってしまうのか?

まだ読んでない人は、ぜひ読んでイライラしてみてください。そして日本の将来をリアリズムの思考を持って真剣に考えてみましょう。日本はまだ手遅れでは無いはずだと信じたいですよ。