哲学をかじったことがある人なら「現象学」は知ってますよね。
「エポケー」とか「カッコに入れる」とかいう言葉くらいは聞いたことあるでしょう。
高校の倫理・政経でも出てきたりするのかな?
「現象学」とはフッサールが提唱したもので、諸学問を根底から基礎付けようとする哲学的アプローチといったところでしょうか。(意味がわからないorz)
ここからフッサールとハイデガーとの関わりとか言い始めたら全く訳がわからなくなるし、そもそもそこまでやると大変だし、私も十分に理解してるわけではないので、そのあたりは哲学史などの本を読んでいただくとしましょう。(私は哲学者ではないのだ)
とりあえず私は現象学を既存の当たり前に思っている視点にパラダイム転換をもたらす方法として捉えてみようというくらいの考えで大雑把に捉えています。
世の中を見ることに、そしてアイデアを生み出すことに役に立てることができるのではないかと思って以前から入門書などを読んでました。
手軽な現象学入門解説書だとわからなくなる
手軽に手に入る新書の入門書ですけども、なかなか現象学の用語自体に慣れることができませんし、ちょっと理解がまだまだイマイチなんですよね。(イマイチというよりも全くダメと言ったほうが正しい)
谷徹『これが現象学だ』や竹田青嗣『超解読! はじめてのフッサール「現象学の理念」』などは現象学そのものの入門として学ぶには良いかもしれません。(共に講談社現代新書)
木田元『現象学』(岩波新書)は、どちらかというと現象学をとりまく話題の歴史といった内容ですので、フッサール自身の考えを中心に触れたいという人には不向きだと思います。それこそ、ハイデガーとの繋がり、サルトルやメルロ=ポンティへの展開などに行ってしまうので、そういう現象学の世界に起こる哲学的事件に興味がある人にとっては良いでしょう。
やはり「現象学そのものへ」という感じ?
そこで私は現象学はフッサールの言葉そのものに当たって砕けてみようと思いました。
そんなことを言うと『論理学研究』や『イデーン』などと格闘しなければならなくなる。いつかはそういうことはしてみたいのですが、大著ですし価格も高い。全部読んで理解するのが今の仕事ではない。
ということで手に取ったのがこれ。
立松弘孝編『フッサール・セレクション』(平凡社ライブラリー)です。
これ、フッサール入門には抜群にいい一冊だと思いました。
フッサールの思想と生涯が軽く最初に触れられています。その後はフッサールの様々な著作の中から重要な文章や段落などを抜き出して、学問とは何か、現象学とはいったいどういったものか、現象学の方法とはどういうものか、現象学はどう展開されるか、といった分類で納められています。
いわば体系的にまとめられたアンソロジーなわけです。文章そのものは別々の著作のものなので、まとまりを持った流れとしては読めないかもしれません。
しかしながら、その1節毎にテーマを噛み締めて読むことがこんなに楽しいものとなっているとは思いませんでした。
フッサール自身の声を目で聴こう
現象学を学ぶなら本からフッサールの声を聞くのが一番いい。
以前読んだ新書に書かれていることは、内容がスッキリしているように見えるものの、わかりやすく述べようとするために言い方をごまかしているような雰囲気も感じてしまい、中途半端な咀嚼になっていたように感じます。
でも、この1冊は違います。フッサールは丁寧に概念を説明しようと本当に言葉を選んでいるのだなということが十分に伝わってくるのです。
やはりフッサールの『論理学研究』とか読んでみたくなる。そう思わせてくれる1冊となりました。
現象学を入門書でかじってみたけど、ちょっと腑に落ちないなと思った哲学趣味な人にはこの1冊はおすすめです。