現代日本の問題点を考えるためのおすすめ新書4冊。憲法、安保、経済、論壇。民進党に付き合ってる暇は無い




森友問題から加計へと続く話題はただのくだらないワイドショーのネタでしかないし、野党と左派マスコミの安倍おろしのみを目的とした手段でしかなく、日本がこれから目指さなければならないことにとっては全く重要でもないし、時間をかけ過ぎるものでも無い。

そんな話題に付き合う暇があったら、この4冊の新書でも読んで色々と自分の頭で考えるべきですよ。

ほんとうの憲法

まずは篠田英朗さんの『ほんとうの憲法』です。

デマだらけの加計問題で大事な憲法改正の話がどこかへ行ってしまいそうなこの時こそ、憲法についてもう一度近くに引き寄せて考える必要があります。そこでこの1冊。

憲法9条原理主義を頑なに貫く立場の護憲派ではなく、また敗戦後GHQからの押し付けられた憲法だから改正すべきという立場の改憲派というものでも無いです。ただただ日本の硬直した憲法論議に国際政治の歴史と流れからみた国際協調主義的な現実的な立場で議論できるような内容だと感じました。国会で憲法クイズをする民進党議員の言ってることがいかに無益なものかもよくわかります。

思想的な左右の対立とも無関係。戦後の日本の憲法学が世の中を歪曲してきたような流れに対して痛烈な批判が込められているとも思います。戦前から戦後。現代に至るまでの憲法論議の流れを追うにも便利です。それにしても宮沢俊義と八月革命説って馬鹿馬鹿しいなと再認識しました。

日本の憲法学会の閉じた非現実的な権威と学会内政治に勤しむ内向きの世界とは無縁のリアルな場所からの憲法学批判の声だけに、今の世の中に有益な議論の材料を提供してくれています。

安保論争

次は細谷雄一さんの『安保論争

「戦争法案ガー」とか言ってドンドコと国会前で太鼓叩いて騒いでいるだけで平和なんか構築できない。また、憲法学者の大部分が自衛隊は憲法違反という立場であるという状況の中で、その憲法学者が自衛隊をどうしようとか、9条を改正すべきとかいう話が全く無い。

そんなお花畑の日本の周りには、領海侵犯はするわ、勝手に領海内で調査するわ、岩礁を埋め立てて基地を作るわ、戦闘機を飛ばしまくるわの好き勝手放題の中国と、核実験に弾道ミサイル開発をして、日本海にミサイル打ちまくる北朝鮮はいるわ、そんな中でその南の国はもう言ってることは無茶苦茶だという状況。日本の置かれている安全保障の状況は、ある意味で米ソ冷戦時代よりも不安定に感じます。

そんな時だからこそ、あの安保法制成立時の騒ぎで頭に熱を登らせずに、しっかりと日本の平和構築について考えないといけない。

そのための材料となる1冊で、細谷さんの憲法の本と対をなすような内容の本です。

本当の経済の話をしよう

3冊目は『本当の経済の話をしよう』で経済の話題を。

経済学者の若田部昌澄さんと評論家の栗原裕一郎さんによる対談です。対談本ですので難しい内容ではありません。世間では「アベノミクスはアホノミクス」とかいうようなアホな学者が書く本があったりしますが、あんなものはそもそも経済学じゃありません。その点、アベノミクスを正しく理解するためにもこの本は重要。

といっても、この本はアベノミクス登場以前に書かれた本ですので直接は無関係で、経済の基本的なところについて扱われた内容です。現在の日本経済の置かれた問題について解説されています。アベノミクスがごく常識的な経済政策だというのも理解できるのでは無いでしょうか。

経済学とは縁遠いにも関わらず経済について問題意識を持っている栗原さんが質問して若田部さんが答えていく形になっています。経済学に詳しく無い人でも十分に読み進めるでしょう。

現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史

最後はこの『現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史』で論壇の惨状を。

日本のリベラルのおかしさがわかります。リベラル言論人は自らを経済的に安全な場所に身をおきながら、経済成長はいらないであるとか、若者はわかっていないとか、逆に若者を利用するとか、そういったなんとも現実離れした発言の多さを明らかにしてくれる本です。

日本の問題ってひょっとしたら「良質な?」リベラルがおらず、彼らはパフォーマンスだけでしか無いということなのかもしれないと感じさせられます。内田樹が鰻を食しながら清貧を解いて炎上したのもその延長という感じです。言葉が暴力的なんですよね。すぐにヒトラーだのファシストだの反知性主義だのとレッテルを貼って批判するだけなのが、この手のリベラル論題であるのはよく感じているところです。

以上、4冊をピックアップしてみました。最近、また面白い新書も出ているのでそれらはまたの機会に紹介しようと思いますが、この4冊で現代日本の状況を考える材料には十分になると思います。どれも左右バランスの取れた問題意識の内容となっていると思います。新書ですから値段的にも内容的にも取り組みやすいので、考えるスタートラインとしておすすめします。

ワイドショーや民進党のアホな政権追求ショーに付き合う暇があったらぜひ読んでみてください。