リアルな国際政治を理解するための11の原理「クレムリン・メソッド」

ビル群




マジでいい本に出会った!

国際政治の動きを一般人が知るのにとても役立つに1冊になるに違いない。

それは北野幸伯さんの書いた『日本人の知らない「クレムリン・メソッド」-世界を動かす11の原理』という本。彼のまぐまぐのメルマガ、「ロシア・ジャーナル」を購読している人もいるのではないでしょうか。

クリムゾン・メソッド

最近、国際政治の解説の中で、評論家が「地政学的リスク」といった言葉を多用するようになりましたが、日本では最近その地政学が注目されてきているような気がします。

地政学研究については日本は敗戦で解体されてしまい、平和ボケの国際政治学が蔓延しているような状況のようですが、伊藤貫さんや奥山真司さんの著作などからリアリズムや地政学の知見を知ることができるようになりました。

そういう意味では、国際政治を見る目を養う機会は増えてきたと思いますが、まだちょっと難しい面があるような気がします。それくらい国際政治の思考に慣れていないということでしょうか。

そういう意味では、この『クリムゾン・メソッド』は最適な導入の書となると思います。

世界を動かす11の原理

『クリムゾン・メソッド』といっても、そういう理論的なメソッドが実際にあるわけではなく、著者の北野さんが国際関係を見る方法をまとめたものです。

以下がその11の原理です。

  1. 世界の大局を知るには、「主役」「ライバル」「準主役」の動きを見よ
  2. 世界の歴史は「覇権争奪」の繰り返しである
  3. 国家にはライフサイクルがある
  4. 国益とは「金儲け」と「安全確保」である
  5. 「エネルギー」は「平和」より重要である
  6. 「基軸通貨」を握るものが世界を制す
  7. 「国益」のために、国家はあらゆる「ウソ」をつく
  8. 世界のすべての情報は「操作」されている
  9. 世界の「出来事」は、国の戦略によって「仕組まれる」
  10. 戦争とは、「情報戦」「経済戦」「実戦」の三つである
  11. 「イデオロギー」は、国家が大衆を支配する「道具」にすぎない

アメリカ1強の時代が揺れているこの時代に、日本が生き残る世界観を持つための強力な武器になる内容です。

誰もが知り得ない裏話からではなく、一般に報道されているニュースソースから分析されていることもこの本の優れたポイント。

最近、ミアシャイマーやルトワックなどの来日しましたが、これはピケティよりも重要視されるべきだと思います。『21世紀の資本』よりも『クリムゾン・メソッド』です。

いい悪いではないものの見方、リアリズムの視点を養うのに本当に良い1冊です。この視点を意識して既知の歴史的出来事を見直してみるのも面白いですよ。

オススメです!