ビットコインをはじめとした仮想通貨、正しくは暗号通貨というようですが、これに使われている技術がブロックチェーンというもの。
ビットコインの話題で、また取引所であったマウントゴックスの破綻などのトラブルのニュースなともあったため、コイン周辺の話だけなのかと思っていたのですが、どうもそれだけにとどまらない社会やビジネスのすごい変化が起きそうな予感です。
暗号通貨の醍醐味が味わえる本
それを感じさせてくれたのがこの『ブロックチェーン・レボリューション』という本です。
ドン・タプスコット、アレックス・タプスコット『ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか 』
最初、手に取ったのは話題だけでした。ビットコインをはじめとした仮想通貨の話題が以前よりも活発になってきていますし、それに関わる儲け話の魅力や怪しさなどもはっきりしてきたように感じ始めたので、ちょっとどんな世界なのか頭に入れておこうと思ったわけです。
かといって、暗号通貨の技術的な仕組み自体を細かく理解したいわけではありません。また、ビットコインでの儲け方とか買い方とか言った俗物な話題だけを追いたいわけではなく、もっと世界観的なものを知りたくなったのです。
そこで選んだのがこの本でした。
仮想通貨の話だけでは終わらない
ちょっと世の中舐めていたというのが実感です。想像していた以上のことを起こしてしまう可能性が、このブロックチェーンの技術にはあるのだと読んでいてワクワクしました。
仮想通貨については、その辺のポイントカードの親戚くらいにしか思ってなかったのですが、このブロックチェーンという技術は今ある会社を潰してしまうほどのパワフルです。下手をすれば銀行が潰れてしまうかもしれない。要するにお金の流通の仕組みが違ったものになってしまうのでしょう。
仮想通貨として話題になったので、銀行とか金融の話だけなのかと思ったら、個人情報を守るための強固な仕組みにも使えたりすることで、ハッキングによる情報漏洩で顧客データがごっそり盗まれる可能性が無くなる仕組みでもあります。そうなると、今あるプ情報集中型ラットフォーム型の顧客管理のやり方は必要無くなるわけで、そこで掠め取っていた手数料ビジネスなどが一気に崩壊してしまうような、個々の直接的な取引システムに向かってしまう話などはとても刺激的でした。
実物の物流以外の流れは、根本的に変わってしまうかもしれない。いろんな分野で手数料のような中間マージンなどの大幅なコストの低減は確実に起こるでしょうから、事業の興隆に両極端な現象が起こりそうです。
三菱東京UFJ銀行でしたでしょうか、仮想通貨を発行するというような話があったと思いますが、これは真剣に時代の流れを読んでおかないといけないことの前触れだと思います。
日本の充実したインフラが立ち遅れる原因になるかも
でも、ひょっとしたら、日本は世界的にも少し乗り遅れるような気がしないでもないですね。このブロックチェーンって金融においてはインフラと言っていいわけです。インフラが整備されていない国や地域などは強力な仕組みになりますし、インフラに信用のおけないところでは、それに取って代わる存在でもあるわけです。中国の富裕層が、国外に資産を持ち出す為に、ビットコインなどを大量に買っているということがその証左でしょう。(ただ、この中国人というところが、この流れにきな臭さを感じるところでもあるのですが)
日本はあらゆるインフラが整っています。銀行はあちらこちらにあるし、コンビニでもお金はおろせます。それに現金払いが世界的に見ても多い国でもあります。不便を感じない国なんですよね。この過ごしやすさが、ひょっとしたらブロックチェーンに乗り遅れてしまう原因になってしまうのではないかとちょっと感じています。
ブロックチェーンはインターネット革命とか言われたものを遥かに凌ぐ世界を作りそうな予感がします。
とにかくめちゃめちゃ面白いので、本当にオススメの1冊です!