11月3日は文化の日。その由来と最近の動きが興味深い。




11月3日は日本の祝日の一つで「文化の日」と定められています。戦前は明治節と呼ばれていましたが、この由来と変遷が日本の歴史にとって興味深いので紹介します。

文化の日の由来

11月3日は戦前(正しくは昭和47年まで)は明治節と呼ばれていました。天皇陛下の誕生日のことを天長節と言いますが、明治天皇の誕生日に当たるこの日を「明治節」としています。明治天皇の誕生日は当初は旧暦9月22日でしたが、1873年(明治6年)1月1日に新暦に改めて換算し11月3日とされました。

文化の日は、祝日法第2条によって「自由と平和を愛し、文化をすすめる」と定めています。

第二条  「国民の祝日」を次のように定める。
元日 一月一日 年のはじめを祝う。
成人の日 一月の第二月曜日 おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。
建国記念の日 政令で定める日 建国をしのび、国を愛する心を養う。
春分の日 春分日 自然をたたえ、生物をいつくしむ。
昭和の日 四月二十九日 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
憲法記念日 五月三日 日本国憲法 の施行を記念し、国の成長を期する。
みどりの日 五月四日 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
こどもの日 五月五日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
海の日 七月の第三月曜日 海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。
山の日 八月十一日 山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。
敬老の日 九月の第三月曜日 多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。
秋分の日 秋分日 祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ。
体育の日 十月の第二月曜日 スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう。
文化の日 十一月三日 自由と平和を愛し、文化をすすめる。
勤労感謝の日 十一月二十三日 勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。
天皇誕生日 十二月二十三日 天皇の誕生日を祝う。

国民の祝日に関する法律(昭和二十三年七月二十日法律第百七十八号)
最終改正:平成二六年五月三〇日法律第四三号

「文化の日」制定の変遷

「文化の日」が11月3日に制定される前に、当時はこの日を「憲法記念日」としようとしていました。現在、日本国憲法は、1946年(昭和21年)「11月3日」公布、1947年(昭和22年)「5月3日」施行となっていますが、元々の憲法公布は11月1日を予定していました。しかし、11月1日を公布日とすると、施行日が5月1日のメーデーと重なるという理由で11月3日に変更されたのです。ただこれは諸説あるとは思いますが、11月3日の明治節に意図的に合わせることで祝いの日にしようとしたとも考えられています。

ところが、この日を憲法記念日とすることを当時日本を占領していたGHQが強く拒否しました。国の基礎となる憲法制定を祝う日を明治天皇の誕生日を祝う日と重なる記念日になることを問題視したのでしょう。その後GHQ側が、憲法記念日という名でない記念日とすることで現在の「文化の日」ということになりました。戦後日本の新しい出発という意味を込めたという形でしょう。

GHQは日付の意味づけに不気味なほどにこだわっています。作家の猪瀬直樹氏が著作で指摘していますが、極東国際軍事裁判(東京裁判)でA級戦犯28人が起訴されたのは、昭和21年4月29日の昭和天皇の誕生日です。そして東條英機らA級戦犯7人が処刑された日が昭和23年12月23日で現在の天皇(当時の皇太子)の誕生日です。なんとも日本人を馬鹿にした動きで不快に感じる出来事です。

ちなみに裁判が開廷したのは5月3日で翌22年のこの日に新憲法が施行されています。

明治の日の運動と問題点

現在、「文化の日」を本来の由来に合わせて「明治の日」に変えようという運動があります。明治時代の歴史的意義を振り返る意味でも賛成です。これまで、なぜこの日が文化の日なのか意味がしっくりこないと感じることもありました。勤労感謝の日も新嘗祭に当たる日ということを知った時に日本にとって大切な日なのだなと実感するようになったものです。こういう本来のどういう意味から現在に繋がっているのかを理解することは必要だと思います。

ただ、問題もあります。明治天皇の誕生日を「明治の日」として祝日とするのも、昭和天皇の誕生日が「みどりの日」から「昭和の日」になったことにも合わせて好ましいことだと思いますが、この動きは遠い未来に祝日だらけになるのではないかと極端に考えれば思ってしまいます。

将来の天皇の皇位継承に伴うことだけに限りません。大正天皇の扱いはどうなっているのでしょう?確かに明治、昭和は日本の歴史にとって大きな意味がありましたし、大正天皇の在位が短かったということもあるかもしれません。それ以外にも、明治以前の天皇の誕生日は大切にしなくていいのか?という思いもあります。そう考えるとどこかで整理しないといけないのではないかと思います。

まとめ

どうあれ明治は日本の近代化のスタート。その大変動の時代の日本を導いた明治天皇ですから「文化の日」を「明治の日」とすること自体は歴史を考えるきっかけともなるので賛成ですね。

また、日本の祝日は本来どんな意味があったのかを再確認してみるのも大切だと思います。