「薔薇の名前」のウンベルト・エーコ氏、死去

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ウンベルトエーコの薔薇の名前

イタリアの哲学者、記号論者のウンベルト・エーコが亡くなったというニュースが流れました。

イタリアを代表する哲学者で、小説「薔薇の名前」などの著者としても知られるウンベルト・エーコさんが19日、がんのために亡くなりました。84歳でした。

引用元:NHK NEWSWEB 「薔薇の名前」の著者 ウンベルト・エーコさん死去

ウンベルト・エーコは一般の人にとっては哲学者という側面よりも小説家としての方が知られているのでしょうね。その代表的な作品が画期的歴史小説『薔薇の名前』です。他には『フーコーの振り子』、学術的には『記号論』が有名でしょう。

この作品は、宗教裁判が激化した14世紀前半の中世ヨーロッパを舞台にしたキリスト教とアリストテレス哲学にまつわる修道士の連続殺人事件の7日間を、中年の僧と見習い修道士が解明に挑む姿を描いたミステリー小説です。「初めに言葉があった」から始まり、「過ギニシ薔薇ハタダ名前ノミ、虚シキソノ名ガ今ニ残レリ」で終わります。

昔、読み始めた時に感じたのは、幅広い教養と哲学から組み立てられた仕掛けと衒学趣味的な要素に圧倒され、その作品の分厚さとこちらの知識不足からくる難解さから、面白いと感じた瞬間に「こりゃ理解するには専門的知識がいるな」とお手上げ状態にもなりました。と同時に、記号論とはどういうものなのかという雰囲気も感じさせられるものでした。

この作品はショーン・コネリー主演で映画化もされました。

ただしこの映画は原作との間にかなりの違いがあるらしく、豊かな着想を与えてくれる原作の品位を落としてしまっているという低い評価を与えられていたようです。

ソシュール研究の世界的第一人者、故丸山圭三郎氏もこう書いています。

しかし何としても首肯しがたい相違点は、映画において異端審問官ベルナール・ギーが、誤って犯人と断定した三人の男女のうち二人を火刑に処し、これを観て激昂した農民たちに襲われて惨死する点と、その結果死者は十人となって「黙示録」の七つの封印と七回のトランペットの伏線が無意味になること、もう一つには、原作のキー・コンセプトである<薔薇の名前>の解釈が、あまりにも浅薄に過ぎる点である。

出典:丸山圭三郎 著 『言葉・狂気・エロス』

ただそこまで味わう以前に、中世のキリスト教的世界観の知識の無い私にとってはこの映画もエーコの世界を十分楽しめるものでしたけどね。

エーコの作品に初めて触れた時に感じたことは「教養ってこう言う分厚いものなのだろうな」という知的衝撃でした。

余談になりますが、先日、京極夏彦の『姑獲鳥の夏』を読み始めたのですが、京極堂の語る言葉は『薔薇の名前』を読んだ時と同じような知的な衝撃を感じましたね。

昨年、記号学的な発想を参考にしたいなと思ったこともあって、エーコの主著である『記号論Ⅰ・Ⅱ』を買って読み始めたのですが…『薔薇の名前』以上に読む以前の訓練が必要な感じです。

ウンベルト・エーコ。知性を感じさせてくれる人でしたね。

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